2026年9月24日ごろから、「朝パソコンをつけたらWordとExcelが消えていた」「Officeを開くとライセンス認証を求められる」というトラブルが全国で相次いでいます。原因はMicrosoftが配信した更新プログラム「KB5002907」で、主に買い切り版のOffice 2016・Office 2019で起きています。
先に結論を言うと、作ったファイルが消えたわけでも、購入したライセンスが無効になったわけでもありません。多くは再認証か再インストールで元に戻せます。この記事では、何が起きているのかと、症状別の戻し方をまとめました。
※2026年9月29日時点の情報です。Microsoftの発表により状況が変わることがあります。
何が起きているのか
KB5002907は、Windows Updateの「その他のMicrosoft製品」向けに配信された更新プログラムです。本来の目的は、更新が90日以上止まってしまったMicrosoft 365(サブスクリプション版)を最新の状態に戻すことで、買い切り版のOfficeには関係のないものでした。
ところが9月23〜24日ごろに配信が始まると、買い切り版のOfficeが入ったパソコンで次の症状が報告されるようになりました。
- WordやExcelの上部に「ライセンスのない製品」と表示され、編集ができなくなる
- スタートメニューからWord・Excel・Outlookなどが丸ごと消えている
Microsoftは不具合を認め、9月26日までにこの更新プログラムの配信を一時停止しました。再開の時期や、修正版を出すかどうかはまだ発表されていません。
影響が出ている製品
- Office 2016・Office 2019(Microsoftが公式に認めている製品)
- Office 2013(Microsoftの発表には含まれていませんが、国内の大手パソコン販売店が同様の問い合わせを報告しています)
いずれも一度買えばずっと使える「買い切り版」です。パソコンを買ったときに最初から入っていたOffice Home & Business 2016・2019も買い切り版なので、対象になりえます。
自分で入れた覚えがなくても起きている
KB5002907は「オプション(任意)」の更新として配信され、Microsoftは自動ではインストールされないと説明しています。しかし実際には、自分で入れた覚えがないのに発生したという報告が国内外で出ています。「更新した覚えがないから関係ない」とは言い切れません。
まず落ち着いて ― ファイルとライセンスは無事です
Officeが消えると焦りますが、次の2点は安心してください。
- 作ったWord・Excelのファイルは消えていません。削除されるのはアプリだけです。アプリがない間はファイルのアイコンが白い紙のような表示になり、ダブルクリックしても開けませんが、Officeを入れ直せば元どおり開けます。
- 購入したライセンスも有効なままです。認証の状態が外れているだけなので、認証し直せば使えるようになります。
やってはいけないこと
- パソコンの初期化:初期化で直るとは限らず、ほかのソフトやデータ、設定まで失うおそれがあります
- ネットで売られている格安のプロダクトキーや「認証ツール」を使う:不正なキーをつかまされたり、ウイルスが仕込まれたツールの被害にあったりする原因になります
- KB5002907をアンインストールすれば直ると考える:Microsoftの案内には含まれておらず、削除してもOfficeが戻る保証はありません
KB5002907が入ったかどうかの確認方法
- Windows 11は「設定」→「Windows Update」→「更新の履歴」を開きます。Windows 10は「設定」→「更新とセキュリティ」→「Windows Update」→「更新の履歴を表示する」です
- 一覧から「KB5002907」を探します。Windowsそのものの更新ではないため、「品質更新プログラム」以外の欄(「その他の更新プログラム」など)も開いて確認してください
KB5002907が入っていて、9月23日以降にOfficeの症状が出ていれば、この不具合と考えてよいでしょう。
症状別の戻し方
「ライセンスのない製品」と表示される場合(アプリは残っている)
- WordかExcelを起動し、表示される案内に従ってライセンス認証を進めます
- サインインを求められたら、Officeを購入・登録したときのMicrosoftアカウントでサインインします
- プロダクトキーの入力を求められた場合は、パッケージやカードに書かれた25文字のプロダクトキーを入力します
- 最後に「ファイル」→「アカウント」を開き、「ライセンス認証された製品」と表示されていれば完了です
WordやExcelが消えてしまった場合
- ブラウザでMicrosoftアカウントのページ(account.microsoft.com)を開き、Officeを購入・登録したときのMicrosoftアカウントでサインインします
- 「サービスとサブスクリプション」を開き、お使いのOffice(例:Office Home & Business 2019)の「インストール」を選びます
- ダウンロードしたファイルを実行し、インストールが終わるまで待ちます
- WordかExcelを起動し、「ファイル」→「アカウント」で「ライセンス認証された製品」と表示されるか確認します
パソコンに最初から入っていたOfficeも、最初にセットアップしたときのMicrosoftアカウントに登録されていれば、同じ手順で入れ直せます。
なお、同じパソコンに64ビット版のAccess Runtime(Accessで作られた業務システムを動かすためのソフト)などが入っていると、32ビット版Officeの再インストールが失敗することがあります。インストールの途中でエラーが出る場合は、何度も繰り返さずにご相談ください。
会社のパソコン(法人向けのボリュームライセンス版)の場合
法人向けのボリュームライセンス版は、個人向けとは認証の方法が異なります。社内の管理担当者か、導入した業者に確認してください。複数台で同時に起きている場合は、1台ずつ対処するより、まとめて状況を確認したほうが早く片づきます。
つまずきやすいポイント ― アカウントとプロダクトキー
戻す作業でつまずきやすいのは、次のようなケースです。
- Officeを登録したMicrosoftアカウント(メールアドレス)が分からない
- パスワードを忘れた、または確認コードが今は使っていない電話番号やメールに届く
- プロダクトキーのカードをなくしてしまった
手がかりは次のような場所にあります。
- Officeのパッケージや、パソコンに付いていたプロダクトキーのカード
- パソコン購入時の保証書・納品書などの書類一式
- 購入当時のメール(Microsoftからの領収書や、Officeのセットアップに関するメール)
無事に戻せたら、Microsoftアカウントとプロダクトキーをメモして保管しておきましょう。次に同じようなことが起きても、すぐに対処できます。
再発を防ぐために、これからできること
修正版が出るまでKB5002907は入れない
配信は止まっていますが、Windows Updateの「オプションの更新プログラム」にKB5002907が表示されても、Microsoftが修正版を出すまでは入れないでください。
より確実にしたい場合は、「設定」→「Windows Update」→「詳細オプション」にある「その他のMicrosoft製品の更新プログラムを受け取る」をオフにする方法もあります(Windows 10では「設定」→「更新とセキュリティ」→「Windows Update」→「詳細オプション」の「Windowsの更新時に他のMicrosoft製品の更新プログラムを受け取る」)。KB5002907は、この設定がオンのパソコンに配信されていました。修正版が出て状況が落ち着いたら、元に戻してかまいません。
Office 2016・2019はすでにサポートが終わっています
今回の不具合とは別に、知っておきたいことがあります。Office 2016・2019は2025年10月14日にサポートが終了しており(Office 2013は2023年4月に終了)、セキュリティの修正はもう提供されていません。さらにOffice 2021も2026年10月13日にサポートが終了する予定です。
サポートの終わった古いOfficeは、今回のように思わぬトラブルに巻き込まれることがあります。復旧のついでに、買い切り版の最新版(Office 2024)か、サブスクリプション版(Microsoft 365)への切り替えを考えてもよい時期です。それぞれの違いは「Microsoft 365と永続版Office、どちらを選ぶべき?」でまとめています。
BULLCOMでお手伝いできること
「アカウントが分からない」「再インストールでエラーが出る」「会社の何台もで起きている」など、ご自身での復旧が難しい場合はBULLCOMにご相談ください。
- Officeの再インストールとライセンス認証の復旧
- Officeを登録したMicrosoftアカウント・プロダクトキーを探すお手伝い
- Office 2024・Microsoft 365への切り替え
- 法人の複数台まとめての対応
持ち込みなら診断は無料です(料金ページ)。神戸市・明石市を中心に出張にも対応しています。当社でパソコンをご購入の方と年間契約の方は、リモートサポートでの対応も可能です。ご相談はお問い合わせフォームまたはお電話(078-912-2656/受付 9:00〜19:00)からどうぞ。
まとめ
- 9月24日ごろからのOfficeの消失・認証外れは、更新プログラムKB5002907が原因。Microsoftは配信を一時停止しています
- ファイルもライセンスも無事です。認証が外れただけなら再認証、アプリが消えたならMicrosoftアカウントから再インストールで戻せます
- パソコンの初期化や、ネットで売られている格安キー・認証ツールには手を出さないでください
- 修正版が出るまでKB5002907は入れないこと。サポートの終わったOffice 2016・2019は、この機会に切り替えも検討しましょう
参考:KB5002907: 古い Microsoft 365 Apps インストールに対するオプションの更新プログラム(Microsoft サポート)

